せつなオモロで情緒的な、川崎タカオ『待ちぼうけ紳士』
以前、『モノマガジン』の連載→「ダジャレ商品開発プロジェクトx+y2」
でご一緒していた、
イラストレーター・漫画家の、川崎タカオさんの新刊が出たのでさっそく購入。
『待ちぼうけ紳士』 青林工藝舎
ひさびさに仕事でもなくここにレビューあげたいと思わせるほど
すばらしい作品でした。
画風から、笑い系と見られること多いでしょうし、
実際、笑いのシーンもりもりですが、
この漫画の魅力は、目的なき行動に伴われる<せつなさ>。
情緒的です。
心の奥の狭い隙間をつつかれます。
そして、その<せつなさ>と、ある時シュールな<笑い>のバランスの妙。
レゲエを聴いていたら、演歌に切り替わり、最後はバロックに至る。
最初は気づかない仕込まれたスケールの大きさ。
それが徐々に伝わってくる。
旋律が繰り返されだんだん大きくなって大団円を迎えるボレロのよう。
主人公のセリフ「待たされているのではない、待っているのだと」
読後、時間が経つほどじわじわ来てます。
情緒的な作品が好きな人には石黒謙吾が自信を持ってお薦めします。