現存するキャンディーズ写真の全状況とか
↓ 関連 カルトネタ
<キャンディーズ関連ネタ=取材受け用>
原稿の合間の気分転換に、自分が手がけたブックレット
写真セレクトについてさっと書き始めたらとてつもなく長くなってしまった。
キャンディーズファンにとってはかなり貴重だけど
それ以外の人は相当縁遠い内容だと先にお伝えしておきますよ。
あ、でも、出版社の写真アーカイブに対する意識が
昔はいかに呑気だったかはわかります。
講談社から6/17に発売になった
『ALL ABOUT CANDIES BEST! DVD BOOK』。
この企画、1年前から動いていたのを僕も聞いてましたが、
スーのことで本決まりになったようです。
急に始まったわけではないのですが、結局、
当然ながら出すなら早くとなり、
僕のところに連絡あったのが4/29でしたが、
6/17発売という超特急過激な進行でした。ひえ〜。
最初は<署名原稿1Pと、相談に乗る>
ぐらいの話しでしたが、担当の方、所属部署のトップと話したところ、
やはり自分で、監修と構成、キャプションまでやらないといかんかなと。
担当の方はずっと若く現役知らない世代の男の人でしたが
とても一生懸命、誠実で、うわべだけでなく
キャンディーズのことを調べ進めてくれました。
とはいえ、もちろん全貌がわかるわけではない。
写真選びだって、どこに何があり、
どれがレアでどれが一般受けするのかも見えない。
キャプションひとつ書くのも、ネットの情報でしか書けない。
それが当たり前なのですが、そうなると、
仕事ではなく、キャンファンとして
やはり何とかしなければと思うわけです。
で、最終的には、
DVD外箱表紙、ブックレット表紙?P19までの構成、写真選び、
キャプションまでやりました。
そんなわけなので、仕事的には相当にボランティア的に。ぽりぽり……。
で、まず考えたのは、読者想定。
既存の映像を使って安価にするこのDVDBOOKの企画ならば、
コアなファン向けでなく初めて買う人などを意識。
そこでまず、
外回りの写真は、王道に、カワイイ写真がいいかと考えました。
そこで、あえて、珍しくはないマルベル堂のものを。
キャン写真のダントツな宝庫は、マガジンハウス。
『平凡』『平凡パンチ』『週刊平凡』 の
取材写真が、フィルム換算で、400本ほどあります。
その9割はカラー。
なんでそんなに詳しいかというと、
一昨年の12月に、僕が3日間かけて整理したから。
理由は割愛しますが、仕事にはなってません、とほほ。
順番が無茶苦茶になっていたり、全然違うキャプションついていたりしたのを
年代順に並べ換え、キャプも直してきました。
あそこには、いい写真あります。
もちろん、他社に貸し出すときは、1点ン万円とかそこそこの料金がかかります。
マルベル堂もですが(どちらも具体的金額は避けておきますね)。
マガハは昔、ごく普通のタレント取材撮影は、
フリーでなく社員or契約のカメラマンが撮ることがほとんどで
ゆえに、個人ではなく、会社に権利がある。
そして、あの会社は、早々と写真アーカイブの意識があったと思われ
とてもしっかりと人物写真が管理されているのです。
これは、出版社としてはかなりスペシャルなこと。
ナベプロもキャン以外のタレントの写真をここから借りることもあるほど。
僕は講談社で8年仕事して、写真資料室はしょっちゅう使っていて、
すでにその頃、キャンの写真、これだけしかないのかあと思ってた。
その後フリーになってからは、
文藝春秋、マガハ、小学館、集英社、角川など、
各社の写真資料室も使ったが、
マガハと比べると、まったく整理・保管されていない。
各社がずさんというのではなく、
昔は権利やアーカイブに対して呑気だったのですよ。
これは僕がこの世界に触れた30年近く前を思うとよくわかる。
そして、もろにマガハと対抗して、タレントがたくさん出てる
『明星』『週刊プレイボーイ』『週刊明星』
を抱えていた集英社にも、タレント、つまりキャン写真はあまりないのです。
では出版ではマガハ頼みとして、新聞はどうか?
これは、ごくフツーのファイナルの引き気味の写真とか後楽園の空撮とか
解散記者会見とか、ニュースになったものしかない。
残るは?当然ソニー。
しかし、レコード&パブリシティ用のみなので
さほど膨大にあるわけではない。
そこそこあって、ジャケットやポスターの別カット
はあるようで、2008年に出た20枚組の『タイムカプセル』の
ブックレットにかなり使われた。
これは、企画して作ったフリーディレクター高島幹雄くんが、
熱いキャンファンで、こだわってくれたから。
ファンとしてこれは感謝でしたね。
高島くんによると、写真はスリーブの状態でそこそこはあるみたい。
しかし、ソニーも、レアな自社から出る製品に使いたいに決まっている。
だから、もう好きに選ばせてはくれないだろう。
3年前、僕が伊藤蘭さんにインタビューできた
『週刊昭和』(昭和53年)
の頃は、担当者が多少選んでいたのですが
今回のブックレットでも使用していいとなったのは
3カットだったし、いろんな雑誌でもCD紹介する条件でも
ジャケット写真以外はほんのわずかしか使えなかったようだ。
いまや出版社、新聞、ソニー以外で存在が大きいのはマルベル堂です。
限られたバージョンしかないし、ベタなテイストとはいえ、
やはりちゃんと撮ってるし、上がりが美しい。
これは、ガラス板に焼き付けているからだと
一昨年、ナベプロの方に聞いてびっくり!!
どおりでキレイなはず。
と、ファンが撮ったもの以外の全貌はこんなとこです。
なので、ここから考えるしかない。
そしてソニーから出てきたのは、
P3トビラ写真、P5プロフ上、P6一番上
の3点のみ。
さあでは、DVD外箱表紙、ブックレット表紙、
トビラ含めた19Pの写真&構成をどうするか?
まずここで、マガジンハウスの写真を使うことを思い切ってやめました。
予算厳しいのにたくさん使って定価が上がったりしたら
作り手のバランスとしてどうかと思う。
いずれ、まとまってマガハから1冊出るであろうと考えられるし
そうなったら、ダブってしまいファンとして長い目で見たら惜しい。
ここは、オリジナルにこの企画にあったものをと考えた。
とはいえ、1P大で見せられるカワイイ3ショットはどうしても
いくつかほしい。
そこで、まずは以下をマルベル堂のもので固めていきました。
●DVD外箱表紙ー王道で衣装も3色のもの
●ブックレット表紙ー暑中のミニフルショット
●P4企画アタマー微笑がえしフルショット、
●P13 着物フルショット
●DVD外箱表紙ー王道で衣装も3色のもの
ここをフルショットにすると目立たないのと
せっかくの脚が帯のコピーで隠れるのでバストショットで押す。
表紙は、切り抜きでバックの色なしなので
マルベル堂のでも少し印象変わりますね。
これですが、版元の上司(女性)は、
P3のソニーのがいいと言ったのですが
この、ソニーから出てきた3点の中のひとつ
ハート泥棒の写真は、表紙にはまず3人の並びがイレギュラーなのと、
ソフター(シャ)がかかってる。
さらにヘアメイクが決定的によくないので、強行に異を唱え(笑)
なんとかこれに。
●ブックレット表紙ー暑中のミニフルショット
DVD外箱表紙がバストショットなので、
今度はミニのフルショットで外側の見え方の変化を。
●P4企画アタマー微笑がえしのフルショット
これもフルショットでかわいいのでばしっと。
●P13 着物フルショット
キャンはとても着物がすてきだったから
どうしても着物の魅力を伝えたく大きくした。
1P大の写真で、マルベル堂以外は以下。
●P3のハート泥棒のジャケ ソニーの
外はきついけどトビラならいいかなと。
●P7 ワンピ立ちポーズ
これ『週刊現代』で使っていたので、
印刷所から戻ってくるの待って入稿(笑)。
この写真、実はかなりレア。
アザーもあったのですがこれがベストかわいい。
おそらく、かなり後期に、
講談社写真部のスタジオで撮ったものと推測。
写真部が撮ったのであったのですが、
正直、スタイリング、メイク、ライティングはイマイチ(笑)ごめん!
でもレアです。
そして他にあった講談社資料室の写真は、
取材モノなどが多少あるにはあるが
少ないため全部構成するにはとてももたない。
そこで思いついたのは、ファイナル本の複写使用。
ファイナルでは、取材でオフィシャルに舞台に入っていたのは、
ソニー以外で、公式BOOKを出した講談社のみだったのです。
だから、当然、新聞や他の出版社には寄り=アップ系の写真が存在しない。
つまり、講談社の出版物しか事実上出せないのです。
ならば今回使わなければ日の目を見ないこともありうる。
それは公式BOOKを持ってない人に対してあまりにも残念なこと。
だからこれでせめて、僕が担当する19Pの中で6Pは組みたいなと。
そしてこのポジ、実は見当たらないことが
3年前の<全キャン連大同窓会2008>の時に判明してました。
撮ったフリーの方はマガジン編集部に預けただけ。
当時の担当の方はすでに退職されている。
その後、30年のうちに行方不明になってしまった。
これはとても残念なことですが、会社も個人も編集部も
誰も攻めてはいけないと思う。
当事者以外でうまくつながっていかなかったのでしょう。
これもまた<キャンディーズ伝説がひとつ増えたな>と捉えています。
ポジがないのは知っていたので、
担当者→写真部と経由して複写を依頼しました。
一番大きく使った「GOING CIRCLES」。
やはりこのカットでしょう!
その下は、会場の盛り上がりを再現。
右下2枚空撮と引きのモノクロは、新聞社のです。
あとは、雰囲気と、時系列の流れがわかるように。
ソロも入れたかったのでタイムコード入れて。
あ、ちなみに、講談社にある1冊は<合本>といって
何冊も束になって綴じられているのでべたっと開けないため、
ノド(見開きの中の折り目)にかかってる写真は複写不可能なのです。
これでも今度は、コアなファンを満足させる写真は足りない。
そこで、映像からの画面撮りを敢行することに。
ちなみに労力は莫大にかかりますが、お金は企画内なのでまったくかかりません。
P9から11の、画面撮りの決め込みは11曲の映像からピック。
振り付け、表情とも「ココ!!」っての細かくこだわってたら
選ぶだけで1日がかり。ガッツ入ったよ。
カット多すぎて実作業してくれた講談社の担当者にあきれられましたが、
印刷の美しさ的にもあまり大きくできないのでいいかなと。
しかし実は、取材モノカット何点かで構成した
カラーのP6、モノクロカットばかりのP8、P12、はあえてかなりツウ向けに。
P6上のソニーもの以外は、講談社写真部のものを使用。
P6真ん中のは『週刊現代』でも使ってたのでやはり戻るの待って。
このカットは、キャプに書かなかったけどここは渋谷公会堂でしょう。
右下のファンの集いのは、マガハにはモノクロしかなかったのでこれも貴重。
P6モノクロもすべて講談社。
サマージャック76の写真、こちらはマガハにはカラーがあってモノクロなし。
この札幌の時、マガハは『平凡』で4〜5Pぐらいのグラビア記事やってたもんね。
あのトウモロコシかじってるヤツです。
P8モノクロもすべて講談社。
このへんはモノクロなので小さい扱いですが
なかなか珍しい写真群。
キャプションは、全体を通して、マニアックすぎる内容は避けて
多少知っていて今回初めて買う人を意識しました。
P19は最初に依頼された署名原稿。
短くて物足りなかったが、まあ最低限、キャンディーズをあまり知らない人向けに
3人の魅力と熱さについて伝えたかったことを。
外回り〜P19についてはそんな感じで、
P20以降は、基本は、担当の方と、ライターさんにお任せで、
曲や番組のところ細かいところだけちょこちょこ訂正入れてぐらい。
でも、振り付け分解イラストのところに
<全キャン連的コール付き>は、こだわりで入れてもらいました。
ほんとは全曲載せたい(笑)。
ふー。
長々とおつきあいありがとうございます。
そんなこんなでまたひとつ
キャンディーズの足跡が世の中に残っていくこと、
ただただ嬉しいです。
↑ 客観的に見てお買い得だと思う。