本作りは長い旅に似て…
本を作る行為は、旅行を思いついてから終ったあとまでの
いろいろな場面に見立てられると思います。
一昨日のブログで書いた←宣伝会議の講座のために
昔の講義のメモなどを引っ張り出してたらこんなものが出てきました。
(クリックで大きくなると文字が読めるかと)
6年前に、津田塾大学で、一般の方を含めた公開講座をやった時に配った資料です。
1年間、実行委員の学生がその年のテーマを決め、
毎月、さまざまなジャンルの人が、400人ほどの聴講生を前に長い時間で話をする
面白い主旨のもので、その年のテーマが「旅」でした。
ならばやはり、ここは一般の人にはイメージしにくい
「編集」に、旅行を「見立て」てみようとこんなの作って話をさせていただきました。
思いつきから考え始めたのですが、
これがまた、パーツパーツがすぱっとうまくハマるんです。
特に自分でもツボに入ったのは、本が出来た後と、旅行が終ってから。
旅行のあと集まって写真交換したり=献本やパブ依頼などなど、
そして、次回どこ行く?なんて話が出るってことは、
仲間同士うまくいってしかも楽しかったということ。
すなわち、クリエーター同士のチームワークもよく重版がかかって
次回もなにかやりましょう!となるようなもの。
このへんは、出版に関わってない人は特に想定外のような気がするので
学生さんたちも興味深そうでした。
ということで、出版関係者もそうでない人も
その時配った講義の事前説明文面も下につけておきます。
上の写真見つつ、つなげあわせ、想像膨らませてみたくださいね。
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津田塾大学 講演内容
「本を作る」という行為は、とても旅に似ています。
本作りは、一般的にイメージしやすい「原稿を書く」こととはまた違うもの。
僕の本業である、「編集」というクリエイティブワークが、その根幹をなすわけです。
原稿を書く人がいて、写真をとる人がいて、イラストレーター、装幀家、
印刷所の人、出版営業の人など、多くの人の意識と都合を考え、
残したいものを残していくコンダクター的作業、それが編集なのです。
スケジューリングをし、予算を考え、アポイントメントを取り、
枠組みを考えながら組み立て、やりたいことと現実、そして他人の都合を
調整しながら進めるこれらの行程は、まさに旅そのものです。
急いで作る本は、友達と行く1泊2日の温泉旅行でしょうか。
大人数で、長期にわたって世界を旅するならば、
それは百科事典と言えるかもしれません。
時間とともに進む、この
“手離れ悪くつらくて楽しい仕事”と、
“面倒だけど楽しい娯楽”のふたつを、
僕の経験などから見立てて伝えられれば、と思っています。
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↓ この本は、計画してから出発まで2年ぐらい、行程は1年の長旅でした。
造り終えた後、母親、父親がガンで亡くなるということもあり感慨深い本となりました。
↓ この本は、急に決まってサクッと行った1泊2日程度の楽しい旅でしたねー。
寄藤さんの装幀もめっちゃ気にいってます。