高木ブーさん、喜寿を祝う会に
今日7時から、お台場のフジテレビ球体展望室「はちたま」
というあの丸いところに初めて乗っ込む。
「高木ブーさんの喜寿を祝う会」である。
いろんな意味で響きにインパクトのある会だ。
まず、案内状には、
「発起人ーザ・ドリフターズ 加藤茶、仲本工事、志村けん」
とある。
いかりや長介、荒井注 という名前が揃わないとろにまず、
ああ、そうだったよね、と寂しさも漂う。
そして喜寿。77歳。おめでたい。
きっと、イザワオフィス、ナベプロ関係者、はじめ
芸能関係者が集っていかにもなハデさだろうなあ。
芸能界との縁はさして多くない僕は場違いな感じでもあるんだけど
ありがたいことに招かれた理由も納得なので
おずおずと参加し、
たぶんごった返しているであろう芸能人をミーハー気分で見つつ
隅っこに小さくなっていようと思う。
「8時だョ!全員集合」が始まったのは、
1969年秋。僕は8歳。
第一回目を見たことは覚えている。
内容はまったく記憶にないけど、
子供心に、どんちゃん騒ぎみたいなハジけた番組だなあと思った。
1933年生まれのブーさんはこの時、36歳ということになる。
それから41年、ドリフでは静かないじられキャラ、カミナリさま、
と身体を張って三のセンを演じてきた。
特に1973年から78年まではキャンディーズがレギュラーだったこともあり、
(またそこかよ)
僕はキャン解散の高校2年まで、どれだけ毎週欠かさずブーさんの姿を見ていたことか。
ワンテンポ遅れたアクションで長サンにメガホンで叩かれるシーンが思い浮かぶ。
ドリフの舞台では、特に合唱隊とか、
ネタをミスった時などよく内輪ウケ的な部分を
あえて隠さず、画面上でにやけたり拭き出したりしていたが、
そんな時のブーさんが見せる笑顔の細い目が好きだった。
とことんやさしそうだなあと思っていた。
そんな、視聴者として一方的に知っているだけのブーさんとの縁が
できたのは、1996年夏。
カミサンが、友人の付き合いで、
東京下町のナントカ会館みたいなところで、
ハワイアンのイベントを見た時からである。
そして、……家に帰ってきたカミサンは、……言っ…た。(プロジェクトX口調)
「高木ブーさん、ウクレレ弾いて歌ってて、それが本気で、すごくよかったよ!」
その頃僕は、フリー編集者2年目。
よちよちと歩きで仕事を始め、手がけた単行本が出て間もない時。
今でも同じだけど、面白そうなものにはすぐに飛びつくサガが出る。
「えっ、そうなの!? それオモロイじゃん。キャッチーだし。
CDとかできるんじゃないの!? SONYのAさんに言ってみるよ」
さっそく翌日、ただ思うがままに、
懇意にしていたSONYレコードのAさんに電話。
この人がまた、面白がるセンスが近い。
レベルの高いダジャレを切磋琢磨するダジャレ盟友でもある。
「えーっつ、それ面白いじゃないですか!
今からなら冬に向けてクリスマス時期のCDとかね」
Aさんがまたクイックリーな行動で、即アポ。
数日後に、Aさんと共にイザワオフィスにお邪魔し本人にご相談。
とんとんと、本当に3ヶ月後の1996年11月、
『高木ブー ハワイアンクリスマス』
が発売に至った。
直接の仕事としては、企画のコーディネートと
ジャケット制作したぐらいだったけど、アイデア考え、
クリスマス系生地で、ブーさんのアロハをスタイリストのK姉さんに作ってもらったり、
初めてしっかりしたレコーディング&スタジオ作業に立ち合わせてもらったりと、
面白かったなあ。
特に、当時はまだあった「信濃町ソニースタジオ」通称「シナソ」
にずっといられたのは至福だった。
ああ、ここでャンディーズはレコーディングしてたんだよなあ、
そういえばここライナーの写真で見たなあ、と遠い目(またまたそこかよ)。
それもそうだけど、
他にCDに仕事で関わったのは計3回しかなく、
<コレ と コレ>
貴重な体験を、ブーさんのおかけでさせていただいた。
その僕が関わったCDはそこそこ評判を呼び、
その後、ブーさんはソニーから何枚かウクレレのCDも出し、
少なくとも誰もが「ハワイアンの高木ブー」というイメージが
インプットされているぐらいには世間に認知されたはず。
その96年からだってすでに14年になるわけだが、
この間、もともと本気の本気で、ウクレレ大好き、
東京ガスの内定を蹴ってまでミュージシャンの世界に飛び込んだ
ブーさんはとても充実していたんじゃないかと思う。
テレビでウクレレを弾くブーさんの嬉しそうな顔を見る時、
その活動に、かみさんの雑談と僕の電話が
ほんの少し関わっていると思うとうれしくなる。
僕の父親は、2年前、77歳で死んだ。
そっか、うちの親と2つしか違わないんだなあと今気づいた。
けれども、ブーさん、まだまだばりばりお元気のようである。
いつまでも細い目の笑顔を見せていただきたい。
7時が楽しみだ。
ランちゃん、いや伊藤蘭さんは来てないかなあ……。
(結局そこかよ)