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2010.3.10 よむみる部

目が見えない生活を実感してみると

この「よむみる部」トップバッターの記事で、
27の部活動、ひとおおりすべて最低ひとつは書いたことに。
ここは、本とか雑誌とかマンガを「よむ」か、
映画とかライブとかイベントを「みる」について書くところなんだけど、
入りがいきなり「みえない」話だよおい。
さいころ転がし、略して「みえはな〜」。

僕が行ったのは2007年だったけど、
日本で初めて開催されてからもう10年も経つので、
行ったことがある人もかなり多いはずの、ワークショップ的イベント、
ダイアログ・イン・ザ・ダーク
こっちはウィキペディアの説明

知らない参加者同士グループになって、
視覚を失って生活するのはどんな感覚なのか、のプログラムを体験する。

興味持って行きたい人にはネタバレになるのであまり詳しく書かないけど、
ざくざくっと説明するとこんなところ。
右も左も真っ暗闇じゃござんせんか
鶴田浩二が耳に手を当てて歌い出しそうな漆黒の会場内に、
家や街や森が作られていて、その中を、歩き、触れ、嗅ぎ、飲む。
五感のうち視覚ひとつがないことで、
聴覚、嗅覚、味覚、触覚の四つが研ぎ澄まされていく。
その鋭敏さを実感することも有意義だが、もっと大切なことは別にある。
目が見えない生活を体験することで、
視覚障碍者へのいたわりの気持ちと、
自分が置かれている環境への感謝の念が湧くはずだ。
湧かない人はすぐに精神科医へどうぞ。

盲導犬使用者の方たちと交流させていただくようになってやがて10年。
年に1度か2度ぐらいだけど、1〜2泊の総会や交流会に伺い、会議が終われば、
一緒にメシ食って、風呂入って、酒を飲み語り、連れションし(犬も)、観光する。
最初は、どうサポートしていいかわからなかったものが、
だんだんできるようになるとうれしいものだ。
いかに自分は普段、人の役に立ってないかと痛感する時でもある。
それでも<自分が見えなくなった状態>を体験しているわけではないから
まだまだ行動に思いやりが足りなかった、
見えないから困ることを想像しえていなかった。
それが、このダンス・イン・ザ……じゃなかった
ダイアログ・イン・ザ・ダークを体験して変わった。
盲導犬と共に、アイマスクをしてちょっと歩く程度のことはそれまでにもあったが
なしにろこれは長時間見えないままの実生活そのもの。
最後、外に出た時のラク〜になった気持ちだけでも味わってほしいなあ。

好評につき常設展示に向けて着々と進んでいるようで
さらにかなり先まで予約は埋まる状況でなによりだけど
もっ〜ともっともととともっともっとととともっと
多くの人にこのワークショップを体験してもらいたい。
ちょうど今月中やっててまだ少し空いてるみたいなので。

あ、感覚が鋭敏になる体験でもっとも鮮明に
僕の身体が覚えているのは、
見えない中で飲んだビールのうまさだったことも付け加えておきたい。
ぷはーっ!
結局そこかよ。

盲導犬クイールの一生 (文春文庫PLUS)

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