水の神秘とパワーを庭のデザインに 『Water Power』 水はすべての原点でもある。生きていくために不可欠なだけでなく、人々の気分や感情に影響をおよぼす不思議な力を秘めている。その独特なパワーはまた、庭のデザインにも現れる。穏やかでありながら、動きが加わり、デザインそのものがぐっと楽しいものに変化するのだ。 アンソニー・アーチャー＝ウィル著 279×240mm 192ページ カラー写真226点 7,087円（税込） 本書は、そんな“Water Power 水のパワー”を存分に紹介した意欲的な１冊だ。ごく小さな庭設計から、大規模な造園法まで、水の基本的なアイデアを満載。水の性質をうまく庭に取入れ、形、材質、位置、植つけを検討しながら、熱い浴そうから自然の泉にいたるまで、庭が持つ多彩な面を引き出している。 想像力を駆使した構成によって、水が循環していく過程が、チャプターを追うごとに見ることができる。水源、道筋、出口、目的地。自然の流れは、やがて人間の手によって同様の循環に形作られていく。噴水や噴出し口は、水が地上から涌き出る様子を模しているし、滝は、人工の滝や水の流れる階段へと形を変える。自然を模倣することよって、心やすらぐ人工美は生み出されている。 各章の最後には、ガーデン・テクニックの詳しい解説も、簡単な設計イラスト付で紹介。これまで列挙したポイントをいかに実際に役立てるかを示してくれる。独自の庭を作るのに必要な材料や道具を知るだけでなく、デザインのコンサルティング会社や建築会社といった役に立つ業者のリストも見逃せない。 世界中から集めた質の高い写真の数々は、ガーデン・デザインの示唆だけでなく、荘厳な自然のパワーをまざまざと感じさせてくれる。心の潤いのためにも、貴重な１冊だ。 ■Anthony Archer-Wills(アンソニー・アーチャー＝ウィル) 世界の最先端を行くウォーターガーデンのトップデザイナー。北南米、イタリア、トルコにある主要なウォーターガーデンのデザインを任され、顧客には動物園、サファリパーク、ホテル系はもちろん英国皇太子やエルトン・ジョンなどがいる。定期的にキューガーデン：英国キュー（地名）にある王立植物園、や英国ガーデニングスクール、ニューヨークの植物園で講義をしている。「The Water Gardener」などの著作がある。