書店回り43軒。自分の無力さを確認できる。謙虚になれる。
先週木曜21日に『2択思考』が発売になったので、
水、木の2日間で書店を43軒回りました。
最初に言っておきますと、
書店員さんにとって、版元の編集者や著者があいさつに来たからと言って、
物理的なメリットはまずないでしょう。
書店員さんは猛烈に忙しい。
見えない部分でやることが山のようにあって大変なんです。
そこにアポなしであいさつに来られても、
時間を取られてしんどいと思うのですよ。
いくら2〜3分でも物理的にはいいことなし。
逆の立場になれば想像つきます。
ちなみに、アポを取っていくのはもっと迷惑と版元の人から聞きました。
きっちりとそこの時間を空けておくのも大変らしい。
だから、最低限のあいさつにとどめるようにしていて、
相手が喜んでいたり、本の内容に乗ってきたらちゃんと話すようにしています。
村上春樹がやってきた、とまではいかずとも有名な著者なら別ですが、
来てくれたことを喜んでもらえることは僕なんかではありえないわけです。
あいさつするときは名刺を出しますが、
90%の人はそれだけで何者かわからないはず。
なので、本を持って声をかけても、人によっては
カンベンして、という表情になる人も、稀にいます。
そして、では回ったからといって、著者や版元にとってのメリット、
直接的な本の売れ行きにはこれまたほとんど関係ないはず。
持っていったPOPを貼ってくれる、置き場を多少は気にしてくれる、
補充を気にしてくれる、返本を先延ばしにしてもらえる、
そんなことが<あり得る>ぐらいがわかりやすいメリット。
なので2日かけて40軒回った見返りは計算できないぐらい、
ない!!!!!! に等しいのです。
では僕がなんでその物理的にメリットのない行為をやるかというと、
「産み出した本に対してやれることはやったという達成感の詰め」
「本気で伝えていきたいんだという覚悟の確認」
「業」(ごう)
たぶんスポ根マインドが好きなんです。
あと、出したい本をお金出して印刷してもらった版元に対して、
せめて何か、少しでもできることを、
直接的なエネルギーをかけた形でお礼しておきたいとも思う。
もちろんしょっちゅうできるわけないので、やらない時はまったくやらず、
ここぞといういう時に、がーっとやっちゃいます。
夕方以降は、忙しそうなので避けたほうがいいと言われてるので、
自分なりの目安としては5時まで。
朝10時に開店するところから始めたとして7時間。
時間と効果のコストパフォーマンスを考えると
当然大型書店中心に行くことになりますね。
場所とコースをうまく段取りして回れば、今までの経験上、
15軒は行けるだろうと踏んでましたが、
今回は、初めて、版元の人と一緒でなく一人で回るから
もっと行けるだろうと目標を上方修正して、20軒に設定。
今回の本は、ビジネスマンが来そうな場所をメインとして。
で、書き出していると、20軒では全然足りない。
そこで、<おっしゃこりゃ今回は2日いったれや!>
とヤケクソ気味で、2日で40軒をノルマとして設定。
結局は、回ってる時近くにあった書店を3軒加えて43軒。
歩き方が相当よくないようで、
初日午後には右膝に感じ始めた痛みは、翌朝にはかなり悪化。
横浜駅到着時点ですでに階段を普通に降りれず、
傘の杖で半歩づつという状態。
2日目は、イテテイテテと顔を歪めながら左足だけで回ったという
被虐的傾向のアホです。
●オリジナルのチラシ的注文書、●自分で作ったハガキサイズのPOP、
たぶん見てもらえることはないだろうけど、●目次の一覧、
と書類3点セットを透明ファイルに入れておき、書店員さんに渡していく。
ビジネス書の棚あたりに書店員さんがいればそこで、
いなければ、レジで、本を手にまず声をかける。
「すみません、この本の著者なんですが、新刊のごあいさつに回ってまして、
ビジネス書のご担当の方お願いしたいんですが…」
気分的には、路上のキャッチ取材と同じです。
担当者がいればまずはラッキー。
呼んできてもらえたら、名刺を出してあいさつし、
ファイルを渡してささっと用件を伝え、
「動きでもあるようでしたら、よろしくお願いします」
と頭を下げて粘らずに退散。
しかし半分近くは、担当者が休み、食事、休憩などで、
声をかけた人に「では、お渡し願えますか」とファイルと名刺を託すだけ。
いないとがっくりきますが、これはもう仕方ない、と切り替えて
次へ次へと進みます。
今回は一人で回っていたせいか、クールな対応のところもまあありました。
受け取ってくれるだけで無表情、みたいな感じです。
1軒、特にキビシイところが。
最初に声をかけた若い男の人が、横にいた女性の入庫担当者に声をかけてくれたんです。
すると本を棚に置くのに忙しそうにしていたその人は
「すいません。アポとってない方のごあいさつはお断りしてるんです」
とビシッ。
それはそうですよね。
本来こちらが仕事中に無理に声かけてるんですから。
書店回りで初めて面と向かってこう言われたので、
わがままなことしてんだよなー、と思い知りました。
ちなみに同じ系列店の他の店では、
とても手厚く対応いただきました。
よく「あの書店は云々」という人がいますが
どんな仕事でもそうですが、結局は会社じゃなく人次第ですね。
とても喜んで頂ける人や、
本の内容、売り場のことなどについていろいろ話しが弾む人もいて
そんな時は、よっしゃ!とやはり俄然やる気が出てきます。
特に嬉しそうな顔を見ると、この顔に出合いたくて回ってるんだと思うのです。
今回びっくりの出来事が。
川崎の<あおい書店>でたまたま入ってすぐ棚にいた方に声をかけたら、
向こうがびっくりしていて、
<ツイッターでフォローしてます!だから毎日合ってるような気がします(笑)>
店長さんだったのですが、いやー、びっくり&歓喜で盛り上がりました。
てなこともありますが徒労感すら感じるそっけないとこが多いもので
それは当たり前のことなんですね。
そして、いくら僕が直接訪ねてもなんら状況を動かせもしなければ、
書店にとっても版元にとっても自分にとっても何も変わらないと思い知る。
<おまえひとりでは本は世の中に残せない>と天の声。
自分は何もできないという無力感、そして自分の小ささ。
それを思い知り、ややもすると忘れがちな、
謙虚であることの大切さ、初心を染み込ませてくれる。
一度、同業者と飲んで書店回りのメリットのなさを話してたら、
じゃあ石黒さんなんで行くの?と聞かれて、さっと出た言葉は、
「そこに書店があるから」
<『2択思考』書店周り>
2010/10/20〜21 <43店舗>
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<1日目ー21軒>>>>>>>>>>>>>>>>
10時〜17時
【東京駅】
●丸善
●八重洲ブックセンター
【銀座】
●三省堂 有楽町 交通会館
●ブックファースト銀座コア
●福家書店 博品館の裏 >>10/25にて閉店
【浜松町】
●文教堂書店 貿易センタービル別館
【秋葉原】
●有隣堂
【お茶の水】
●丸善
【神田】
●三省堂
●書泉グランデ
【池袋】
●ジュンク堂
●リブロ
【新宿】
●紀伊国屋本店
●ジュンク堂
●紀伊国屋本店南口店
●BOOK 1stルミネ2
●BOOK 1st ルミネ1
●BOOK 1st 西口 コクーンタワー
【恵比寿】
●有隣堂 アトレ恵比寿
【目黒】
●有隣堂 アトレ目黒
【品川】
●あおい書店 イーストンタワー2F
●くまざわ書店 インターシティ2F
<2日目ー22軒>>>>>>>>>>>>>>>>
10時〜19時
【横浜】
●有隣堂 西口ダイヤモンド
●あおい書店 西口ダイエー
●丸善 西口地下
●有隣堂 ルミネ横浜
●紀伊国屋 そごう7F
【川崎】
●丸善 ラゾーナ川崎
●あおい書店 ダイス川崎
【六本木】
●ABC
●ABCヒルズ店 六本木ヒルズ West Walk 4F
●TUTAYA けやき通り
【赤坂】
●旭屋 ベルビー赤坂
●文教堂
【青山】
●ABC本店
【吉祥寺】
●啓文堂 丸井6F
●リブロ パルコB2F
●ジュンク堂 コピス吉祥寺 ロフトの近く
【渋谷】
●啓文堂
●山下書店
●ブックファースト
●リブロ
●丸善&ジュンク堂