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2010.4.28 編集者部

海外版権ー海賊版&改造版 笑っていいとも?

上海のパクリ楽曲問題かまびすしいタイミングに合わせたかのように、
中国発渋谷着で笑っていいのか怒るべきかわかんない、
悩ましくもおいしいネタが届きました。

その同じ日の朝、ブラジルから1通のメールが。
以前、ブログで書いた←吉永拓哉さんからでした。
僕がプロデュース・編集した2冊の本の著者です。

(以下転載)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

石黒様
いつもお世話になっています。
アマゾン奥地の取材も無事に終わり、ドキュメンタリー撮影も終了し、
いまサンパウロ新聞本社に滞在しています。

先週末、ひさしぶりにサンパウロ市東洋人街(リベルダーデ)を歩いていたら、
なんと、露店のDVD屋で、石黒さんの『盲導犬クイールの一生』を発見しました。
露店なので、コピー商品ですが、
地球の裏側でもクイールを見ているブラジル人がいることを知ってとても驚きました。
露店で発見したクイールの画像を添付ファイルでお送りします。

5月6日の新宿ロフトのトークショーでお会いしましょう。

吉永拓哉

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この写真が添付されてました。

ブラジルのオネエサンは(オバサン?)
肉感的だなという風に視線は向くがそうではなくて真ん中下。
まごうことなき カ・イ・ゾ・ク・バ・ン♥です。
当事者になってみるとさすがにここまで来ると特に腹も立たないもんですね。
いやー、世界の人々は商魂宅間伸…いや、たくましいなあと感心すら湧くもんなあ。

となごんでいたら、集英社から電話。
担当のSさんの話の内容はというと
『犬がいたから』←の中国版、文章以外に連載時の写真も使いたいから
送ってくださいというので送っていたのに、
本が出来てきたら、写真は使用してないうえに水彩画の挿絵が入っていて
カバーもまるで別物になっていたのです。
エージャント通して遺憾の意と説明を中国の版元に求めたら
「担当者が一生懸命やっていたので」などなど返事の文面も届きはしましたが、
どう対応すべきか著者としての考えをお聞かせください>
ということでした。

そして翌日届いた本がコレ。

ぶははははっ!!!
たしかに全然別物中の別物。
元本(日本版)と台湾版はコレ。

中身は、
台湾版では、連載時に載せていた写真をうまく使いこんな感じの組み方ですが

届いた中国版にはこんな水彩画が入ってます。

見た瞬間は、オイオイ!というかトホホ〜というかゴラァ!!とか
ネガティブな感情が湧きましたね。
しかもこんな大胆なサイドチェンジが
版元にも著者にもなんの断りもなく進行していたという(笑)。
余談ですが、しかも送ってこないので出てるのしらなくて
偶然僕がネットで見つけて集英社からつついて、半年経ってやっと届いたんです。

版元の集英社としても
<とんでもないことなので、なんであれば、回収を要請しても…>
という見解でもあるようで、その主旨もわかります。
売上げ的にはなんでもない数でしょうが(笑)、
商道徳的に無茶苦茶なことの前例を放置していたら
また同じことがおこり他の著者さんも版元も迷惑するかもしれません。
しかし翌日にまた見てみて、この件に限っては、
まあもういいかなあ、という気にもなっています。
泣き寝入りっちゃあ泣き寝入りなんすけど、
回収云々より現地の状況、感覚に合わせた判断だろうから
(わかんないけどまあそう考えた方が心にいいような 笑)
のままでいいから、なるべく売ってくださいね♥
ぐらいのほうが誰も不幸にならないかなあと。
GW明けにでもそう返事しようかなという気分になってます。
つってもまあ中国のことですから
仮にちょいとでも売れたらあとはコピーの海賊版になるでしょうけど(笑)。

ちなみに『盲導犬クイールの一生』では
韓国版、台湾版、台湾子供版、中国版、ポルトガル語版、
が発行されて、台湾版、中国版はそれぞれたしか20万部とか売れました。

その話をするとよく言われるのは
「中国で正式に申告が20万部なら、実際はコピーで200万とか出てるんじゃないの」
というネタ(笑)で、あの国ならそうなのかもしれませんね、岡本真夜さん。

それから、本のカバーデザイン、装丁などは
必ず元の本に合わせて作らねばならないうという決まりはまったくありません。
あくまで、都度の希望に応じてどうするか、です。
お任せならお任せで構わないわけですね。

僕の場合、著書、編書でそこそこ海外で出たものありますが
めったに希望は出してませんし、出したものもあります。
以下参考に一部を並べてみましょう。

まず犬関連から3冊。
『パピーウォーカー』台湾版。

これは、特になんの希望もだしませんでしたが、ほぼ、そのまんま。

『盲導犬ジョナと登った3000m』中国版 
そういえばこの本もなかなか送ってこなかったなあ(笑)中国!!!

これも希望ナシでそのまま。

『犬と歩いて 〜盲導犬ユーザーの詩』台湾版

これまた放置でしたがママで。

『ガンを治す108の方法』韓国版

これは特に希望出してなく、来たら全然違ってたので、へえーって感じでした。
キムチがガンに効くような気がしたのだろうか?…

続いて、プロデュース・編集した本から3冊。
『やさぐれぱんだ』韓国版

これは希望ナシでままですが、面白かったのは中身。
どうみても和田アキ子にしか見えない絵があるのですが
その人が、チェ・ホンマンに変わってた!!!

『ナガオカケンメイの考え』韓国版

これは、ナガちゃんの希望もあって、寄藤文平さんのデザインを生かしてとオーダー。
たぶんがんばってハングルのフォントを合わせたんだろうなあ、ってのが微笑ましい。

『ナガオカケンメイのやりかた』韓国版

これも上に同じですが、寄藤さんがツイッターで、
「数字のフォントが微妙に違うなあ」とつぶやいてたのがおかしかった。

とまあいろいろあるわけですが
著者側→版元→エージェント→海外の版元→クリエーター
と話が流れるので、もはや遠くでのできごとのよう。
なのでむしろ意図が正確に伝わっていくことが至難の業ぐらいに思っていた
ほうがいいのかも。
特に、中国の場合、知らせがあったり本が送られてきたことを感謝せねば!
って、わたしだまされやすいのかしら?

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